中国や日本には季節の移り変わりに対応した言葉が豊富にあり、暮らしに定着している。なかでも、立春、秋分、白露などの、季節の変わり目の日を指す言葉は、「二十四節気」と呼ばれて、21世紀の日本人の心にも、深く陰影を刻んでいる。他にも、八十八夜、入梅、土用、彼岸といった節目の日があり、これらは「雑節」といわれる。節分も、この雑節の一つである。
節分は、もともと季節の変わり目の日である立春、立夏、立秋、立冬の前日のことをいう。したがって、節分は年に4回あったのだが、いつか、年の最初の節分である立春前日だけが、特に「節分」といわれるようになった。これが現在の陽暦2月の3日か4日に行われている節分である。
節分の行事で代表的なものが「豆まき」と「焼嗅(やいかがし)」。ともに魔よけ、悪霊邪気払いのために行われる。「豆まき」は、年男が「福は内、鬼は外」と唱えながら豆をまき、悪鬼を追い払う。
「焼嗅」は、節分の夜、柊(ひいらぎ)の小枝に焼いた鰯(いわし)の頭などを刺して、玄関や窓外に挿しておく。その悪臭で悪霊の侵入を防ごうというもの。同様の悪臭パターンでの悪霊よけでは、家の門口に葱(ねぎ)や韮(にら)、大蒜(にんにく)を挿しておくというのもある。
最近、コンビニ・フードで大人気なのが「恵方(えほう)巻き」と呼ばれる太巻き寿司。これを節分の夜に、恵方(吉の方角)に向かって無言で丸かじりする習俗がある。大阪・船場の商売繁盛祈願が発祥らしく、コンビニ各社の商品名も「節分丸かぶり寿司」や「丸かぶり恵方寿司」など、「かぶる(かじる)」という関西弁を生かしたネーミングになっている。
いずれにせよ「福を巻き込む」寿司の意。太巻きの丸かじりは女性にはあまり行儀のいいものではないかもしれないが、このせちがらい世相では、行儀よりも福招きか。ちなみに2008年の恵方は、南南東とのことである。