「建国記念の日」は、1年に15日ある「国民の祝日」の一つで、日取りは2月11日に設定されている。「国民の祝日」は、昭和23(1948)年に成立し平成17(2005)年に一部改正された「国民の祝日に関する法律」に基づいて定められたものである。ちょっと長くなるが、普段読むこともないので、その第1条を紹介しておこう。
「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける。」
ただ3連休になってうれしいとか、旅行業界の刺激になるといった理由だけではない、国民の「祝日」についての高邁(こうまい)な位置づけが、ここでは語られている。
さらに、一つ一つの「祝日」には、どういう「祝日」なのかも文言化されていて、ちなみに2月11日の「建国記念の日」については「建国をしのび、国を愛する心を養う」「政令で定める日」である、としている。もちろん、こういった条文や文言を思い浮かべながら心して休むかどうかは、国民一人ひとりに委ねられている。
さて、「建国記念の日」だが、これは「建国記念日」ではない。他の国の場合、多くはアメリカやインドのように「独立記念日」を「建国記念日」にしている。フランスの「パリ祭」と呼ばれている日も、フランス革命が始まったその日を「建国記念日」とする。このように、それぞれ日にちが特定されていることが多い。
すると、日本のこの2月11日はどういう日なのか。これは明治6(1873)年から昭和23(1948)年までの間、「紀元節」という祝日であった日。日本書紀で神武天皇即位の日としている日を明治の改暦で新暦に換算し、2月11日にしたといわれている。
戦後、この祝日を決めるにあたっては、さまざまな論議があったが、いずれにしても典拠が神話的な世界なので、他の国のような「この日」というわけにいかなかったのだろう。そのあたりの事情が「建国記念の日」という表現と、建国を「しのび」、国を愛する心を「養う」日、という文学的言い回しに表れているのかもしれない。