2月22日は「猫の日」なのだそうだ。なぜかといえば、「222」の並びを「ニャンニャンニャン」と読んだ語呂合わせ。ペットフード工業会が日本全国の愛猫家から「猫の日」をいつにするかを公募。「猫の日制定委員会」が1987年に制定したという。この、言葉遊びから生まれたような記念日も、すでに20年の歴史を持ったわけだ。ちなみに「犬の日」は、ご推察のとおり「ワンワンワン」の11月1日。こちらも同じく87年の制定だそうだ。
猫は、犬とともに最も人間との付き合いの歴史が長い動物である。紀元前2000年代中頃の古代エジプトの絵に、首輪をつけた猫が描かれている。もちろんそれ以前から野生の猫はいたのだろうが、たとえばその首輪をつけてもらったエジプトの猫たちは、紀元前900年頃には完全に家猫になり、飼い猫として普及していたという。これは、アフリカからアラブ、インドあたりまで分布していた、リビア猫(ヨーロッパヤマネコ)が家畜化したものだそうである。
猫の家畜化とは、穀物などをネズミから守るために、猫を人間が飼いならしていった経緯。そうして人間と猫の密接な付き合いの歴史が始まり、現在に至る。
その長い歴史の中で、貴重な仏典がネズミにかじられるのを防いで尊重されたり、魔女の仲間として虐殺されたり、ペストの流行回避の救世主にされたりして、まさに波乱万丈の時間が猫の上には流れている。
しかし、今も昔も、「猫の恋」の季節は変わらない。短毛のシャム猫も日本猫も、長毛のペルシャ猫もアンゴラ猫も、それは変わらない。いわゆる猫の発情の多くは1~3月と5~6月に起きる。とりわけ「恋猫」といわれて俳句の季語にもなっているのは1~3月期。この時期には雄が雌を求めて、昼夜を問わず、あの何とも形容しがたい切ない声を発し続けるのである。
「恋猫」関連の季語には、他に「猫の恋」「浮かれ猫」「たわむれ猫」など擬人化した措辞が多い。それも、猫と人間の付き合いの長さゆえなのだろう。