ご存じのように、オリンピックの開催は4年に1度。それは、4年に1度の「閏年(うるうどし)」の周期と同調していて、オリンピックといえば閏年、というふうに思い出す人も多い。
現在、一般に閏年といえば、2月の末日が28日ではなく29日になる年で、29日が「閏日」。それが4年に1度ある、ということで理解されている。では、なぜ、そういう周期で、そういう処理をして暦を調整しているのだろうか。
閏年を、もう少し丁寧にいえば「閏のある年」。閏(じゅん、あるいは、うるう)とは何か。これは、暦法上、普通の年、つまり平年より「多く付け加え」られた「月」または「日」ということである。
この、付け加えられた「月」や「日」は、季節と暦日が食い違わないように考えられたもの、極端にいえば、正月が夏にならないようにするため、ということである。なぜ、そういう心配をしなければならないのか。それは、たとえば月の満ち欠けを基本にした太陰暦や、太陰太陽暦(旧暦、陰暦)では、1カ月を29日か30日にしているが、これでは実際の太陽の運行とずれていき、この誤差が積もり積もれば結局、季節のめぐりと合致しなくなっていく。これでは、人間にとって最も重要な農業の作業日程に不都合である、ということで暦に調整が加えられた。
たとえば太陰暦の1カ月の日数で12カ月を作ると、平年の1年は354日。そこで実際の1年の日数に足りない分を積算して、19年の間に7つの閏月を置く(メトン法)とか、30年に11の閏日を入れる(イスラム暦)といった方法を考え出した。
現在の太陽暦(陽暦)では、1年を365日と定めている。しかし、実際に太陽の周りを地球が1周するのには365日と5時間48分46秒(365.2422日)かかる。つまり、4分の1日ほどの端数が生まれる。この端数を足していって生まれる1日分を、4年に1度、2月に足す。これが閏年の2月29日である。ちなみに、2月に閏日を置くのは、2月を年末としていた古代ローマ以来の習慣なのだそうだ。