旧暦で、二十四節気(にじゅうしせっき)という、季節を指し示す言葉がある。1太陽年を24等分したもので、「小満」は、その二十四節気の一つ。現在の陽暦でいえば5月の21日ごろにあたる。これは季節の順でいえば、同じく二十四節気である「立夏」のあと。そして、この5月21日ごろから次の「芒種(ぼうしゅ)」の前の約15日間のことも「小満」という。暦便覧では「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」季節だとされている。
この二十四節気などの季節の言葉や、その基盤になっている太陽の黄道とか黄経といった考え方は、古代中国の天文学によるものである。もちろん、こうした天文学は暦を作るため、つまり農業の発展を支えるために研究が進んだもの。その農事の目安になる季節の言葉として、二十四節気のほかに、「七十二候(しちじゅうにこう)」も案出された。
七十二候とは、二十四節気が1年を24等分したのに対して、さらに細かく1年を72等分したもの。したがって、一つの「候」は5日か6日。そして二十四節気を3等分して、たとえば「小満」の「初候」とか「次候」とか「末候」といった使われ方をする。「天候」の候、「時候の挨拶」の候も、この「候」である。
さて、その「候」で「小満」の約15日間を約5日ごとに分けると、初候は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」、次候は「紅花栄(べにはなさかう)」、末候が「麦秋至(むぎのときいたる)」となる。
この小満の次の二十四節気が「芒種」。南北に長い日本列島の中で、沖縄には独特の季節感を表現する言葉があり、この小満と芒種の期間を合わせて「小満芒種(すーまんぼーすー)」という。たとえば、春になって気温が上がってくるころを「うりずん」、夏の到来を告げる5月は「若夏(わかなち)」。そしてそれに続くのが、本土より早い沖縄の梅雨の季節「小満芒種」なのである。