日本ダービーは、毎年5月の最終日曜日(平成20年は6月1日)に、日本中央競馬会(JRA)による重賞レースとして、東京の府中競馬場で行われる。
正式名称は「東京優駿」。「優駿」とは、もちろん「脚の速い馬」「優れた馬」の意だが、そこから広がって「非常に優れている」こともいうようになった。日本ダービーは、サラブレッドの頂点、日本のすべてのホースマンの大目標といわれるが、「東京優駿」はまさにそういうレースにふさわしい名称である。
日本ダービーは、昭和7年(1932)、馬産の興隆と競馬の社会的地位および質的向上を目指して始められた。世界の競馬の中で最高の権威を持つといわれ、かのチャーチルに「ダービー馬のオーナーになるのは一国の宰相になるよりむずかしい」といわせたイギリスのダービー・ステークスに範をとったことから、「日本ダービー」といわれるようになった。
現在のJRAには8大競走といわれる重賞レースがある。すなわち、3歳馬による5大クラシックといわれる桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞と、古馬による春秋の天皇賞、そしてオールスターの有馬記念である。このうち、「クラシック三冠」といわれるのが皐月賞、日本ダービー、有馬記念。その中でも、日本ダービーは「競馬の祭典」、「ファンの夢、ホースマンの夢」ともいわれる。第3回から70年以上ずっと府中の2400mコースで開催、という歴史が持つ特別感、牡馬、牝馬ともに競う、まさにその世代のナンバーワンを決めるレース、結果、新しいスターを誕生させるレースということが夢につながるのだろう。皐月賞は最も速い馬、菊花賞は最も強い馬、そして日本ダービーは最も幸運な馬が勝つという「伝説」がある。つまり、日本ダービーは、いくら速くても、いくら強くても勝てない。勝利の女神がほほえんだ馬こそが優駿中の優駿ということか。
1着賞金は、1億5000万円。これはジャパンカップの2億5000万円、有馬記念の1億8000万円に次ぐ、3番目に高い賞金額である。