梅雨は、一般的には日本の6月ごろに降り続く長雨、雨期をいう。同じころの同じような気象状況は、中国の揚子江流域や朝鮮半島南部などにもあり、東アジア特有のものである。
陰暦(旧暦)でいえば、5月ごろの長雨で、それを古くから五月雨(さみだれ)といった。さらにいえば、五月雨はこの時期の雨そのものをいうが、梅雨は雨をいうとともに時期、期間も指す言葉である。
この梅雨の表記、「つゆ」、「ばいう」といった言い方は、江戸時代あたりから定着したとのこと。
梅が実るころの雨で「梅雨(ばいう)」。あるいは、じめじめとして黴(かび)が生える時期なので「黴雨(ばいう)」ともいわれる。
暦の上で季節の節目をいう「雑節」に「入梅」があり、それが現在の6月11日ごろのこと。そして暦の上では、そこから30日間が梅雨の期間となる。もちろん、暦の上のことだから、あくまで季節の巡りの目安で、実際に気象庁が宣言する「梅雨入り」や「梅雨明け」とは関係ない。
日本の季節の巡りの中では、この長雨は、そのうっとうしさも含めて非常に印象深い時期であり、気象状況である。そのことが、多彩な梅雨がらみの言葉を生み出したのだろう。
「走り梅雨」は、梅雨に入る前、5月ごろに降る、梅雨を思わせるような雨。「迎え梅雨」とも。
「梅雨晴(つゆばれ)」は、梅雨の合間の晴れ。ほっとするひと時である。
「梅雨寒(つゆざむ。梅雨冷)」は、この時期の季節はずれの寒さ。
「空梅雨(からつゆ)」は、ほとんど雨の降らない梅雨。「旱梅雨(ひでりづゆ)」とも。
「青梅雨」は、青葉茂るころの雨だから。
「梅雨闇(つゆやみ)」は、暗雲立ち込める梅雨時のその暗さをいい、本当に真っ暗闇。また梅雨時の昼の暗さもいう。五月闇(さつきやみ)とも。
そして、梅雨が明ければ、真夏のまばゆい青空が待っている。