「夏至」は二十四節気の一つで、陽暦の6月22日ごろにあたる。そして、二十四節気とは、日にちだけでなく時期のこともいうので、この日から次の二十四節気である「小暑(7月7日ごろ)」までの約15日間のことも「夏至」という。
この日、北半球では、1年のうちで「昼が一番長く、夜が一番短い」日となる。こういう表現をすると、日の出の時刻が一番早く、日の入りの時刻が一番遅い日、というふうに思われるかもしれないが、実はそうはならない。日本では、日の出の最も早い日は夏至の1週間ほど前であり、日の入りが最も遅い日は夏至の1週間ほど後のことになる。
夏至という字の感じとか、1年のうちで最も昼が長いという説明などから、真夏の太陽が降り注ぐ日、といったイメージが描かれそうだが、現実の日本は雨期、梅雨のまっただなか。日照時間でいえば、冬場より短い年も多々、とのことである。
ただ、単に昼間の時間の長さということであれば、昼が最も短い冬至の日よりも、夏至の日のほうが約5時間ほど昼が長いのは事実である。
世界規模で見れば、夏至の日の北緯66度33分以北、つまり北極圏では、全域で白夜(はくや)になる。
白夜の国といわれる北欧のフィンランドやスウェーデンでは、夏至の日に祝う夏祭り「夏至祭」が盛大に行われる。長く暗い冬を暮らすこの地の人々にとって、クリスマスから半年、待ちに待った白夜、太陽の季節の到来である。フィンランドなどでは、この祭りを田舎の、それも水辺に近いサマーコテージで祝う風習があり、このときは街には人影が少なくなるといわれている。
日本の「夏至祭」は、三重県の伊勢神宮に近い二見浦(ふたみがうら)で行われるものが有名。夫婦岩(めおといわ)と初日の出の名所だが、この日、300人ほどの白装束の善男善女が、天照大神(あまてらすおおみかみ)を迎えるために、日の出の夫婦岩に向かって海に入る。