本格的な夏の到来を告げる行事、各地の夏の風物詩として「山開き」「海開き」「川開き」が行われる。それぞれの場所での無事故を願うのはもちろん、最近では行楽地としてのイベント色の強い催事となっているところもある。しかし、こうした行事は「山開き」が大本になっており、その「山開き」は、そもそも宗教的意味合いが強いものであった。
日本各地の高山や、名山といわれる山々は、それ自体が信仰の対象となる存在、あるいは宗教的修行をする神聖な場所であるところが多かった。したがって、普段は入山、登山を禁じている山に、その禁を解いて一定期間の入山を許す、このことを山開きといったのである。
日本の代表的な山である富士山も「富士信仰」の山だが、7月1日、富士山本宮浅間神社(せんげんじんじゃ)において「お山開き(開山式)」が行われる。詳細をいえば、6月30日から7月1日にかけての夜半、午前0時に浅間神社の「湧玉池」における「みそぎ」に始まり、続いて、火きり神事、富士山御神火みこしの点火、練りと、神事が行われる。そして、7月1日の午前9時半から「開山祭」となり、登山者安全祈願と湧水献上などがある。
同日午前11時からは村山浅間神社での「富士山入山式」となり、山伏による護摩焚き神事、午後3時からは富士山表富士宮口五合目で「お山開き宣言」と「献花式」などが行われる。ちなみに、この献花式は、外国人として初めて富士登山をした初代の駐日イギリス大使オールコックの記念碑に献花するもの。
夜は、地元の富士宮市の祭りとしての意味合いも含めて、「ミス富士山コンテスト」や「富士開山奉納手筒花火」の披露などが開催される。
こうして、富士山は、登山の季節を迎え、毎年7~8月、富士山頂には約30万人もの登拝者がある。ゴミなど、環境問題にはぜひ留意したいものである。