大暑は、二十四節気
の一つで、季節の目安としては文字通り「大いに暑くなる季節」「暑さが最も厳しいころ」ということである。しかし、現在の陽暦でいえば7月の22日ごろに当たるので、実際のタイミングとしては梅雨明けのころ。したがって、本当に大暑という言葉を実感する暑さの到来は、このあとということになる。
二十四節気は、もともと中国から渡来した季節の目安を示す言葉で、それも中国の黄河中・下流域の季節感をベースにしているので、日本の感覚とはズレがある。そのズレを補おうとして、日本独特の雑節と呼ばれる季節の言葉を取り入れたりしてきた。この大暑の7月22日ごろを含む「土用」もその雑節の一つ。暑くて、体力を消耗する時期であることには違いない。
二十四節気は、1年を24の期間に分けたものだから、基本的に一つの節気は15日間になる。しがって、「大暑」などの節気の言葉は、たとえば7月22日ごろというタイミングを示すとともに、15日間という期間を指す言葉ともなる。
この一つの節気、つまり15日間をさらに細かく分けた季節の言葉もある。七十二候である。つまり、1年を72の期間に分けるのだから、節気に当てはめれば、一つの節気の15日間を三つ、5日間ごとに分けることになる。それをそれぞれ、七十二候のうちの初候、次候、末候という。
では、たとえば「大暑」のうちの「初候」は、季節の言葉としてはどうなっているか。中国では「腐草為蛍」(ふそうほたるとなる)、腐った草が蒸れて蛍となる季節だというのである。それが、日本バージョンでは「桐始結花」(きりはじめてはなをむすぶ)、桐の実がなり始める季節。さて、どちらの季節感が美しいのだろうか。
次候は、中国、日本とも「土潤溽暑」、土が湿って蒸し暑くなる、という。そして、末候は「大雨時行」。時に大雨となる、とのこと。台風の季節が近づいていることを示しているのだろう。
大暑の次の二十四節気は、はや「立秋」である。