立秋は、二十四節気
の一つで、8月7日ごろに当たる。また、この日から次の二十四節気である「処暑(8月23日ごろ)」までの約15日のこともいう。
暦の上ではこの日から秋、ということになるが、実際の季節感としては、真夏。この日から猛暑日が続く年も多い。
ただ、面白いことに、いくら実際に暑くても、言葉としてはこの日以降の暑さは「残暑」になる。したがって、「暑中見舞い」を出しそびれて、これからという場合は「残暑見舞い」になるので、要注意。
さて、ここで「暦の上では」といっているその暦とは何かと考えてみると、それは陽暦、太陽暦といわれる暦のこと。日本人が明治5年(1872)12月から現在まで使用している、その暦にほかならない。
太陽暦とは、いうまでもなく「太陽の周りを地球が1公転する時間を1年とする」暦である。つまり、1年を365日とし、少し出る「余り」は4年に1度の閏(うるう)日で吸収する。
一方、旧暦といわれる太陰太陽暦は、読んで字のごとく太陰暦と太陽暦の折衷暦。月の運行をベースに月日を考えた太陰暦においては、1カ月は29日か30日になるため、1年は354日にしかならない。これでは太陽暦に比べてかなり日数が足りなくなり、具体的には暦の月日と季節感が合致しなくなってくるのである。そこで、その季節感を補ったのが二十四節気という考え方。
したがって、二十四節気の「立秋」は現在の暦では8月7日ごろとなって、季節感を表すその言葉と、実際の季節がずれているが、旧暦の8月7日を現在の暦に当てはめると、それは9月の初旬。そのころならば、「立秋」といわれても、まずまず季節感として納得できるのではないだろうか。
そうしてはじめて、平安時代の歌人、藤原敏行の「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」という和歌の詩心が成り立つ。現在の8月7日で「秋来ぬと目にはさやかに見えねども」といっても、真夏日だからね、と突っ込まれるだけだろう。