日本三大〇〇というくくり方のなかで、「日本三大花火」といえば、秋田県大仙市の「大曲全国花火競技大会」と茨城県土浦市の「土浦全国花火競技大会」、それに新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」のこととされる。ただ、この「日本三大〇〇」というレベルを超えて「世界一」を誇る花火がある。新潟県小千谷市(おぢやし)片貝町(かたかいまち)の「片貝まつり」での「世界一の四尺玉」大花火である。
新潟にはよほど花火好きが多いのか、日本三大花火の長岡を含めて「越後の三大花火」といわれる大きな花火大会がある。それも海、川、山という「冠」をつけて呼ばれている。開催日順にあげれば、まず7月26日の「海の柏崎」。これは日本海に面した柏崎市の「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」。二つ目は8月2、3日の「川の長岡」。これは信濃川畔での「長岡まつり大花火大会」。そして三つ目が9月9、10日の「山の片貝」。雪晒(さら)しの小千谷縮や錦鯉で知られる小千谷市の片貝、浅原神社で行われる「片貝まつり奉納煙火」である。
これでおわかりのように、「片貝まつり」の煙火(花火)は他の町のような花火競技会やイベントではなく、浅原神社秋季大祭での奉納行事で、400年の伝統を持つ。
とりわけ「片貝まつり」を世に知らしめたのが四尺玉花火の打ち上げ。もともと片貝は三尺玉発祥の地といわれ、長岡などとともに大花火で知られていたが、日本テレビやフジテレビがかかわったギネスブック「世界一の大花火」登載競争が、さらに話題を盛り上げた。
現在は昭和60年(1985)に片貝で打ち上げられた四尺玉が「世界一」ということでギネスブックに登載されている。そうして、名実ともに「世界一の花火」という呼び声のもと、普段は6000人足らずの片貝の町に、祭りの2日間は十数万人が押し寄せる。
ちなみに、世界一の四尺玉花火は上空800mで直径800mに開く。玉の重さがなんと420kg。とても花火とは思えない。打ち上げ用の筒の大きさが高さ5.2m、重さ4.5t。この筒がモニュメントとして片貝郵便局通りに立てられている。三寸玉の筒から並んでいるが、それを見ると四尺玉の巨大さがよくわかる。