9月24日は、東京都豊島区巣鴨にある曹洞宗萬頂山高岩寺の秋の例大祭である。萬頂山高岩寺などというと格式ばるが、それはよく知られた「巣鴨のとげぬき地蔵」のこと。「おばあちゃんの原宿」としてテレビなどでもよく中継される「巣鴨地蔵通り商店街」も、この高岩寺を中心とした大きな商店街である。
お地蔵さまの縁日は、毎月4日、14日、24日。このうち「とげぬき地蔵」の主な縁日としては、元日が早朝大般若祈祷、1月4日が初地蔵、1月24日が例大祭、2月3日が節分会追儺(ついな)、4月の第1日曜日が花祭り、5月24日が例大祭、7月24日が地蔵会、9月24日が例大祭、12月8日が成道会、12月24日が納め地蔵ということになっている。
ふだんから、お地蔵さまに参拝するおじいさん、おばあさんは多いが、とりわけ9月24日の秋の例大祭のような大きな縁日には、通りに沿って様々な出店や露店が並ぶため、10万とも15万ともいわれる人出となる。
さて、それでは、これだけの人々が、なかでもいわゆる「お年寄り」「年配」の方々が、なぜこれほどここに集まるのか。それは、このお地蔵さまの「とげぬき」というご利益(りやく)にある。
人間を含むすべての生き物は、その業の善悪によって、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道の六つの道、六道のどこかに身を置かなければならないとされているが、地蔵菩薩は、我々がその六道のどこにいても救いの手を差し伸べてくれるという。もともと、そういうありがたい菩薩なのである。わけても、巣鴨・高岩寺のご本尊は「延命地蔵」といわれ、約400年前の開基より、霊験あらたかな逸話は多い。そのうえ、お参りすれば人の病気、悩みなど、いわば人の心身にささった「とげ」を抜いてくれるというのだから、おじいさん、おばあさんだけでなく、善男善女が集まらないわけがない。
「とげぬき地蔵」のご利益と「地蔵通り商店街」のおもてなしの心。大型商業施設中心の街とは違う、懐かしい人のぬくもり、古きよき日本の人情と風景がそこにある。