霜降。神戸牛の「霜降(しもふ)り」でもなく、魚料理の下ごしらえの「霜降り」でも「霜降り」の衣でもない。これは、「そうこう」と読む。
二十四節気の一つで、10月の23日ごろにあたる。意味は、そのまま「霜が降(お)りる」ということでよい。これは「寒露」のあとの二十四節気であり、次の「立冬」までの15日間も、「霜降」ということになる。
このころは、秋のなかでも最後の候になり、「三秋」の初秋、仲秋、晩秋のうち、もちろん晩秋ということになる。
二十四節気の15日間を5日間ずつ、初候、次候、末候の三つに分ける七十二候の日本バージョンで見ると、まず初候は「霜始降」。「しもはじめてふる」ということで、里の田や畑にも霜が降りはじめるころをいう。
次候は「霎時施」。「しぐれときどきほどこす」ということで、冷たい小雨が時折降るようになるころ。末候は「楓蔦黄」で「ふうかつきなり」。モミジやツタが色づくころということ。秋という季節の最後。紅葉の真っ盛りである。
「暦便覧」によれば、「霜降」については「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆえなり」としている。露が冷気によって霜になって降り始めるころ、つまり、朝霜が見られ、朝の冷え込みが厳しくなるころ、というわけだ。
「霜」は露の凍ったもの、というのは詩的だが、科学的には次のような見解になる。地表あたりの気温が氷点下になったとき、水蒸気が地面や物に触れて昇華し、白い氷片になる。それが「霜」。
気象用語では、秋から冬にかけて初めて降りる霜を「初霜」という。同じく気象用語で「うす霜」といえば「弱い霜」のことで、植物の葉など部分部分に霜が降りている状態のこと。一方、「強い霜」といえば、畑の作物や地表一面が白く見えるような霜のことになる。