10月31日、明治神宮の秋の例大祭が始まる。
明治神宮は、日本一の初詣での参拝者数でも知られるように、日本を代表する神社の一つ。ただ、伊勢神宮や出雲大社のような古社ではなく、明治天皇とその皇后であった昭憲皇太后を祭神とする神社である。
そして、この神社に関連して、「神宮外苑」という言葉も球場や絵画館の存在とともに周知のこと。その約8万坪の「外苑」に対する「内苑」、いわゆる神社境内の広さが約20万坪(約66万1200m2)。内苑、外苑合わせて約28万坪(約92万6000 m2)というスケールの大きさ。東京都渋谷区代々木、つまり大東京のまん真ん中の一大緑地である。
明治神宮は、そもそも明治45年(1912)の明治天皇崩御に際して、その遺徳をしのぶ事業、行事が検討され、天皇を祀(まつ)る神社の創設が計画されたことに始まる。その後、続いて大正3年(1914)に皇后であった昭憲皇太后が亡くなると、二人を祀る神社を、ということになった。
そうして、大正4年(1915)に造営を決定、大正9年(1920)にようやく完成して、11月1日に鎮座祭が行われた。その造営整備には、全国の青年団による「勤労奉仕」の力が大きかったといわれている。そして、これまた全国から十数万の木々が「献木」され、その植樹によって「神宮の森」が出来上がったのである。
例祭は11月3日だが、それを含む「秋の大祭」が10月31日を第一日の儀として始まる。続く11月1日が「鎮座記念祭」、2日が第三日の儀、そして3日が明治神宮にとって最も重要な祭儀である例祭(秋の大祭)となる。この日は明治天皇の誕生日であり、宮中より勅使が差し遣わされる大祭である。
こうした大祭の間、境内では流鏑馬(やぶさめ)や能、狂言などが奉納される。
それは、日本の伝統文化の粋を味わえるひと時といえるだろう。
また、300万人を超えるという初詣でだけでなく、七五三や和装の神前結婚式など伝統的な行事も「明治神宮で」という人は多い。