「大雪」である。「おおゆき」でもなく「だいせつ」でもない。これは「たいせつ」と読む。二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、陽暦の12月7、8日ごろに当たる。
「大雪」は、二十四節気でいえば、「立冬」「小雪(しょうせつ)」に続く約15日の期間で、その言葉通り、いよいよ冬が本格化することを意識させてくれる。そして、「大雪」が終われば、次は「冬至」。昼が最も短い寒冷の時期となる。
二十四節気をさらに細かく約5日ごとに分けた七十二候で「大雪」を見れば、次のような表現になる。
まず、最初の5日間である「初候」は「閉塞成冬(へいそくしてふゆとなる)」、つまり「天地の気が閉塞して冬となる」ということ。続く「次候」では「熊蟄穴(くまあなにちっす)」となる。「熊が冬眠のために穴に入っていく」時期ということ。
そして、「大雪」の最後の5日間、「末候」は「魚群(けつぎょむらがる)」といわれる。とはサケのこと(オイカワとする説もある)なので、「サケが群れになって川をさかのぼってくる」という意味になる。
このように、日本における七十二候の「初候」「次候」「末候」の三候で「大雪」を解説すると、「空がどんよりとした雪空に覆われるようになり、冬眠をする動物たちはその準備を始める。たとえば熊は、冬眠前にたっぷりと食物をとるために、川を上ってくるサケを捕らえる行動をする」そういう季節、時期だというわけである。ただ、熊の場合、それは「冬眠」ではなく「冬ごもり」だとされ、体温の低下もわずかで、普通の睡眠に近い状態なので、ちょっとした刺激でもすぐに目覚めるのだとか。
陽暦の12月上旬といえば、まだ小春日和の日もあり、日本全体としては「大雪」という言葉に似合う季節ではない。とはいえ例外もあって、「平成18年豪雪」と命名された2006年などは、暖冬予報に反して前年の12月早々から強い寒気が流れ込み、その12月から翌年1月上旬にかけて、全国各地に記録的な大雪と寒波、暴風をもたらした。
いずれにせよ、大陸の高気圧の張り出しが強まり、急速に冬型の気圧配置となる時期。冬眠はしないものの、人間も本格的な冬支度を急げ、ということなのだろう。