「二十日正月」は、文字通り1月20日に行われる正月の風習である。正月と呼ばれるものには、元日、1月1日から7日までの大正月(おおしょうがつ)とか1月15日の小正月(こしょうがつ)、女正月(おんなしょうがつ)、あるいは七日正月、1月4日や14日、16日などに行われる仏正月(ほとけしょうがつ)といったものがある。そうしたさまざまな正月の風習のなかで、一番最後が「二十日正月」、これで正月の諸行事もほぼ終わりとなる。
この二十日正月には、さまざまな異称があるが、そのことから「二十日正月」の位置づけがわかってくる。まず、関西方面には「骨正月」という言い方がある。
これは、1月も20日ぐらいになると、お正月のごちそう、行事食も食べつくしてしまい、なかでも魚などは骨まで食べてしまう、といったところからいわれたもの。
たとえばブリはその成長によって名前が変わっていく「出世魚」で、正月にふさわしい魚とされている。京阪神では20日に、正月に使ったそのブリの骨と酒粕(さけかす)、大根や大豆などを一緒に煮て食べる風習があった。このことから「骨正月」というわけだが、「頭正月」という言い方も同じようなことなのだろう。骨まで、頭まで食べてしまって、お正月もおしまい、といったところか。いわば、お正月の祝い納めである。そこから1月20日は「正月送り」「あがり正月」などともいわれたそうだ。
関東などでは、20日に「御棚探し」といって、正月料理の残ったもので、おじやを作るところもある。また「団子おろし」というのは、小正月の餅花、団子飾りを20日に下げて焼いたり、お粥(かゆ)に入れたりして食べること。そこから、20日は「団子正月」と呼ばれたりもする。
沖縄ではハチカソーグヮチ(はつかしょうがつ 二十日正月)といい、この日に正月飾りを下げる。そしてスーチカー(豚の塩漬け)を食べ、ターウムニー(田芋煮)などのごちそうを仏前、台所の火の神に供えて正月の行事を締めくくるのだそうである。