「あまみず」ではない。「うすい」と読む。二十四節気の一つである。
「雨水」は、現在の陽暦でいえば、2月の18日ごろにあたる。二十四節気の前後関係からみれば、2月の4日ごろの立春から15日目あたりということになる。そして、その当日だけでなく、次の二十四節気である「啓蟄」までの15日間もまた、「雨水」と呼ばれるのである。
「雨水」は、それまでの雪が雨に変わるという意味の「雨」と、雪や氷がとけて水になるという意味の「水」の二つを合わせてそう呼ばれる。そのように、雪の季節が終わっていくタイミング、季節のめぐりを二十四節気では「雨水」というわけだ。ただ、実際の天候としては、東京などでは立春から雨水にかけてのころに、けっこう雪が降る。そういう、季節の目安と実際の天候とのズレは、よく起こることではある。
とはいえ、農業などはこうした二十四節気のような季節の目安をもとに作業が進められるのがもっぱら。「雨水」については、このころから土が潤い始め、草木の芽が伸び始めるということで、農作業が本格化する。
季節の目安として二十四節気よりさらに細かく設定されている七十二候では、15日間の一くくりである二十四節気を5日間ごとに初候、次候、末候に分ける。そのなかで、「雨水」は次のように説明される。まず「雨水」の最初の5日間つまり初候は「土脈潤起(どみゃくうるおいおこる)」。土が湿気を帯び、潤う、ということ。
続いて次候の5日間は「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」。霞がたなびき始める。そして末候の5日間は「草木萌動(そうもくきざしうごく)」。草木が芽吹き始める、ということになる。
この「雨水」の日に雛(ひな)人形を飾ると、良縁に恵まれるという言い伝えもあるようだが、成果のほどはさだかではない。