「清明」と書いて、「せいめい」と読む。季節の訪れを教えてくれる「二十四節気」の一つで、4月5日ごろのこと。二十四節気では「春分」の次に当たり、春分の日から15日目ということになる。また、この日から次の二十四節気の「穀雨」までの、およそ15日間のことも「清明」という。
「清明」は、「清浄明潔」という文言の略。桜をはじめとする季節の花々が咲き、人々は花見でにぎわい、「新しき人々」は入学式や入社式で人生の次の門をくぐっていく。天地、森羅万象、世の中のものすべてが「清々しく明るい」時候。生命感あふれる、まさに春である。
二十四節気は一つの節気をおよそ15日間としているが、それをさらに5日ごとに3分割し、それぞれを初候、次候、末候とした七十二候という季節の目安がある。「清明」をその七十二候で見てみると、次のような表現になっている。
初候は「玄鳥至(げんちょういたる)」、玄鳥つまり燕(つばめ)が南からやって来る季節という。次候は「鴻雁北(こうがんきたす)」。ガンが北へ帰っていく季節だという。末候は「虹始見(にじはじめてあらわる)」。虹が現れ始めるころとしている。明るくすっきりとした季節感を表したものだろうか。
二十四節気は、もともと中国における季節の目安をいう言葉だが、「清明節」は中国では祖先の墓を清掃してお参りする日。別に「掃墓節」とも呼ばれるとのこと。
沖縄では、この「清明」を「しーみー」といい、「清明祭」として、清掃墓参のあと一族が墓前で、酒食を共にする。三線(さんしん)を弾き歌うというから、この世、あの世一体となった南の島の春の宴、といったところか。旧暦3月の「清明節」に行う祖先供養の年中行事で、18世紀後半に中国から琉球に伝わった風習とされている。