プロ野球パ・リーグのオリックス・ブルーウェーブは、スター選手がいないため、人気はいま一つ。ところが94年、彗星のように現れたのが「イチロー」選手。本名・鈴木一朗(愛工大名電高出身)という20歳の外野手で、ミートのうまさには定評があったが、8月に57試合連続出塁というプロ野球新記録を打ち立てた。しかも6月末からの7試合は打率が4割を超え、初の4割打者出現への期待を抱かせた。今の球界には「鈴木」姓が選手、監督、コーチを含めると14人もいるため、同球団の新井コーチが「イチロー」という選手登録名を考えだした。打率こそ0.385とバース(阪神、86年)のもつ0.389の日本記録にわずかに及ばなかったが、前人未到の210安打を達成した一番打者・イチロー。改名で心機一転、さらに「目立つ」ことがヤル気にもつながったと言える。ダイエーの山本も「カズ山本」と改名、こちらも大活躍したため、今後も珍名・奇名が増えそうだ。