96年1月11日に就任した菅直人厚生大臣は、もともと薬害エイズ問題に関心が深く、就任早々、真相究明のための調査チームを発足させ、薬害エイズ訴訟関係の資料の公表を官僚に迫った。また、国の責任を全面的に認め、原告一人ひとりに頭を下げて「全面謝罪」した。その間、徹底した情報公開を求める菅厚相と、従来の前例主義をタテにする厚生省官僚との確執は、「菅官戦争」とよばれるに至った。5月、厚生省幹部の天下り自粛措置を発表した資料に、菅厚相のメモにはないお役所言葉「当面」が入ったり、9月には業界団体への天下りに対する判断で衝突するなど、菅・官の溝は深い。