口演家と名乗る45歳の栗良平さんは全国の民話や童話を集めて口演会を開いてきたが、1989年(平成元)になって、そのひとつ「一杯のかけそば」が、国会の質疑にも取り上げられて大ヒット。テレビに週刊誌に「これでもか」と紹介され、日本列島「涙の洪水」と化した。しかし栗さんに詐欺まがいで金品をとられた、「医者」を騙(かた)ったなどと「過去」がわかるにつれ、「あの涙は何だったのか」と、今度は一転して「いっぱい喰わされた」、あげくは「語り手」ならぬ「騙り手」といわれて、「疑惑いっぱいのかけそば」とまでいわれる始末。