方言と同じように、ある地域や地方でのみ通用している漢字。早稲田大学の笹原宏之教授が、「国字の位相と展開」(三省堂)で研究結果をまとめている。「国字」と呼ばれる和製漢字は1万近くあり、「辻」「鱈(たら)」「峠」「樫」「畑」「働」などが有名。「鱈」のように中国に逆輸入されて用いられている漢字もある。国字には、秋田県八郎潟周辺などで見られる「かた(さんずいに写)」のように、特定の地域でのみ通用する文字がある。これらの文字は、生活に結び付き、雰囲気や背景の文化を伝えるものとして生き残ったと考えられている。