マダガスカルに生息する小型のほ乳類テンレックの一種。体長15センチ程度で、全身が針状の太い体毛で覆われており、外見はハリネズミのようだが、遺伝子解析によると、ゾウやジュゴンに近い生物であるという。背中の後部には、他の体毛よりも太く短く、ギザギザの刻みがついた体毛が15本程度密集して生えており、それらをこすり合わせることで「ジーッ」という音を発生させる。音を出す体毛の根元では「振動筋肉」と呼ばれる特殊な筋肉が発達しており、体毛を素早くこすり合わせる動作を可能にしていることを、東京大学総合研究博物館の遠藤秀紀教授らが発見した。コオロギやスズムシの羽根と似た原理で、こういった仕組みを持つほ乳類はシマテンレックのみだという。