意図的に、食品に毒物などの有害物質を混入して、社会的不安を起こさせる行為。食品テロとも呼ぶ。2001年のアメリカ同時多発テロ事件以後、世界各国でテロ対策が講じられるようになり、食品に関しても02年に世界保健機関(WHO)が「食品テロに対するガイドライン」を作成。その後、原料の調達から販売までを監視し、意図的な有害物質の混入から食品を保護するフードディフェンス(食品防御)という考え方が広まった。07年に、アメリカ食品医薬品局(FDA)が「食品セキュリティ予防措置ガイドライン“食品製造業、加工業および輸送業編”」を作成。日本では、07年末~08年に殺虫剤メタミドホスが入れられた中国製冷凍ギョーザ事件が起こったのを契機に、食品業界でフードディフェンスの意識が高まった。12年、厚生労働省の研究班が「食品の安全確保推進研究事業」の一環として、食品製造工場向けに「食品防御対策ガイドライン」を作成した。しかし、13年秋、マルハニチロホールディングス(東京都千代田区)の子会社、アクリフーズの群馬工場で製造した冷凍食品に農薬マラチオン(マラソン)が混入され、14年1月25日、従業員が容疑者として逮捕される事件が発生した。