お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹が執筆した中編小説。2015年1月発売の文芸誌「文學界」2月号(文藝春秋刊)で発表された。同氏にとって初の本格的小説で、主人公は若手お笑い芸人の「徳永」。「徳永」は才気あふれる先輩芸人の「神谷」にひかれて弟子入りし、2人は成功を夢見て、笑いについての問答を重ねる。やがて「徳永」は少しずつ売れ出すが、一方の「神谷」は周囲の理解を得られず、身を持ち崩していく。同作は掲載誌の発売前から大きな注目を集め、「文學界」は同誌としては史上初の増刷となり、最終的に過去最高の4万部を発行した。同年3月に発売された単行本も純文学としては異例の売れ行きを見せ、同年の上半期ベストセラーランキング2位(日本出版販売調べ)になった。同作は同年4月に第28回三島由紀夫賞の候補作にノミネート。同年7月には、羽田圭介の「スクラップ・アンド・ビルド」(「文學界」15年3月号)とともに第153回芥川賞を受賞した。受賞を受けた大幅増刷で単行本の累計発行部数は104万部に達し、ミリオンセラーを達成。その後も版を重ね、発行元の文藝春秋は8月4日、累計で209万部になると発表した。