貧困のために、普通の生活を送ることができず下流の生活を強いられている高齢者のこと。社会福祉士、ソーシャルワーカーとして活動するNPOほっとプラス代表理事の藤田孝典による造語。同氏の著書「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」(朝日新聞出版)では、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」と定義している。同書では、高齢者が貧困に陥るパターンとして、(1)本人の病気や事故により高額な医療費がかかる、(2)高齢者介護施設に入居できない、(3)子どもがワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる、(4)熟年離婚、(5)認知症でも周りに頼れる家族がいない、の5点を指摘。将来的には、高齢者の9割が貧困化するという。また、年収400万円のサラリーマンでも、老後に受け取れる年金が月20万円を下回り、病気や介護による出費などが生じうることから、貧困化するリスクは決して低くないとしている。実際、高齢者の貧困化は進んでおり、厚生労働省が行っている被保護者調査によれば、2015年4月時点で生活保護を受けている高齢者世帯は79万2209世帯と、受給世帯全体の約49%を占めている。