化粧品メーカーの資生堂(本社・東京都港区)が、子育て中の女性社員を対象として2014年4月に行った勤務制度の方針転換。同社では女性社員が働きやすい環境づくりのため、1990年に育児休暇、91年に出産後の職場復帰を支援する短時間勤務制度(時短勤務)を導入するなど、他社に先駆けた取り組みを行ってきた。2007年には店頭で販売を担当する美容部員の短時間勤務制度利用を進め、15年11月時点で約1100人の美容部員が短時間勤務をしているという。しかし、制度利用者が増えた06年から14年の間に国内での売り上げは約1000億円減少した。同社では、業績悪化の一因として、夕方から夜にかけての繁忙時間に短時間勤務の社員が不在になることが販売機会の逸失につながったと分析。育児中ではない社員からも、負担が公平ではないと不満が上がったため、方針転換に踏み切った。新制度では、短時間勤務制度を利用する美容部員にも他の美容部員と同様に土日や遅番の勤務を求めたほか、接客数のノルマを課した。導入にあたっては、家族の協力が得られるかなどを聞き取って勤務シフトを決め、育児の協力者がいない社員にはベビーシッター利用の補助を出したり、地域の子育てサービスを活用するようアドバイスして進めるとのこと。この方針転換については、15年6月に日本経済新聞の連載記事で紹介されたほか、同年11月のNHKニュース「おはよう日本」でも取り上げられて注目を集めた。