原油価格の急落によって世界の経済や社会が大きな影響を受けること。逆石油ショックなどとも呼ばれる。原油価格が急騰した1973年の第1次オイルショック、79年の第2次オイルショックでは、日本などの原油輸入国の経済が大きな打撃を受けたが、原油価格が60%以上も暴落した86年の逆オイルショックでは、旧ソ連などの原油輸出国にとって経済的打撃となった。2014年にも、原油価格の大幅な下落により「逆オイルショック」と呼ばれる事態が発生。下落の背景には、ヨーロッパや中国、日本の景気減速による需要低迷に加え、アメリカにおけるシェールオイルの増産などにより、世界的に供給過剰になっていることがある。さらに、そうした中で同年11月に石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことで、下落傾向に拍車がかかった。国際原油価格の代表的な指標の一つであるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格は、同年12月中旬に1バレル55ドルの値をつけ、約5年7カ月ぶりの安値を記録。同年6月時点から約5割もの値下がりとなった。また、「北海ブレント」などの他の指標も同様に大きく値を下げた。この値動きは、日本をはじめとした原油輸入国では景気底上げの要因になることが期待される一方で、ロシアやブラジル、メキシコ、ナイジェリアなどの産油国では経済不安定化の要因になり、そうした国では通貨の大幅な下落が目立っている。