沖縄県の尖閣諸島周辺海域での漁業権をめぐって、2013年4月10日に日本と台湾が結んだ取り決め。日台間には国交がないため、日本側の窓口機関である公益財団法人交流協会(東京都港区)と台湾側の亜東関係協会の間で交わされたという位置づけで、正式名称は「公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の漁業秩序の構築に関する取決め」(「日台民間漁業取決め」)。東シナ海上の北緯27度以南で、日本の排他的経済水域(EEZ)に属する水域の一部に「協定適用水域」を設け、台湾漁船の操業を認める。尖閣諸島周辺もこの水域に含まれる。日台間の中間線よりも東側での台湾漁船の操業を認めた内容で、日本側が大きく譲歩した形といえる。その一方で、海岸から12カイリの日本領海に台湾漁船が入ることも認めない。同水域での漁業権をめぐる日台間の協議は1996年以来、計16回実施されたが進展がなく、2009年2月を最後に中断していた。しかし、日本政府による12年9月の尖閣諸島国有化以降、同諸島の領有権を主張する台湾と中国の接近を防ぐために、日本政府は協定の締結を急いだ。結果、同水域での日本の漁業権で譲歩し、尖閣諸島の実効支配を主張する形となった。