事業者が和牛や貴金属などの特定の商品を顧客から預かって、運用、管理する取引に適用される法律。正式名称は「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」。1980年代に現物まがい商法で社会問題となった豊田商事事件を契機として、消費者保護のため86年に制定された。該当するのは、牛や豚、犬などの動物をはじめとして、金、銀、宝石などの貴金属、盆栽などの観賞用植物、ゴルフ場などの施設利用権など。これらの物品を顧客から3カ月以上預かり、それに応じた利益を提供する事業者は、故意に事実と異なる説明をして勧誘すること(不実の告知)を禁じられ、契約内容を明記した書面を交付することが義務づけられる。事業者が事実と異なる説明を行った場合には、2年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科される。また、顧客によるクーリング・オフも認められており、契約書の交付から14日以内であれば無条件で契約解除できる。2013年6月には、和牛オーナー制度で会員から資金を集め、11年に経営破綻した安愚楽牧場(本社・栃木県那須塩原市)の元社長らが、顧客に対して飼育している牛の数を過大に説明したとして、同法違反容疑で警視庁に逮捕されたことが話題になった。