企業や個人による課税逃れを防止するため、締結国が徴税を協力し合う多国間条約。いわゆる課税逃れ防止条約で、正式名称は「租税に関する相互行政支援に関する条約」。経済協力開発機構(OECD)、欧州評議会の加盟国を対象として1988年1月に成立、95年に発効し、2010年5月の改正で同評議会の非加盟国でも加盟国の同意があれば署名できるようになった。締結国間では、租税に関する情報の交換が可能になり、企業などが課税逃れを目的として資産を他の締結国に移した場合、移動先の税務当局に租税の徴収を依頼することができる。OECDによると、13年9月時点で同条約に署名したのは56カ国。日本は11年11月のG20首脳会合で同条約改定議定書に署名しており、その後、国内手続きを経て13年6月に参議院本会議で承認され、同年10月1日に発効した。これにより、従来では難しかった海外資産の強制的な差し押さえなどを他の締結国に依頼できるようになる。