建物の基礎部分に設置して、地震の揺れを吸収するための免震装置の一種。1995年の阪神・淡路大震災以降、広く用いられるようになり、2011年の東日本大震災を機に普及が進んでいる。主に、薄いゴム層と薄い鉄板を交互に積み重ねて接着した積層ゴムが用いられている。積層ゴムは、鉛直方向(水平面に対して垂直)には鉄板の硬さで建物を支えて安定させ、水平方向にはゴムの柔らかい弾力が働いて地震の揺れを吸収することにより、免震に必要な性能を発揮する。積層ゴムには、粘性を高める特殊なゴムを配合し、振動エネルギーを吸収するダンパーの機能を併せ持つ「高減衰積層ゴム」、ダンパーと合わせて用いる「天然ゴム系積層ゴム」などの種類がある。15年3月、東洋ゴム工業(本社・大阪市)が製造、販売していた製品が、国が認定する免震装置の基準を満たしていないことが判明。一部の認定は、同社の担当者がデータを改ざんして不正に取得したものであったことから、国土交通省は不正取得された認定を取り消した。同製品を使用していた建物は18都府県の55棟に及び、安全性への懸念など影響が広がっている。