神奈川県横浜市のマンションで、ずさんな基礎工事が主な原因とみられる建物の傾きが見つかった問題。問題のマンションは、三井不動産レジデンシャル(本社・東京都中央区)が2006年6月に分譲を開始した全4棟、最高12階、計約700戸の大型マンション。14年11月、そのうちの1棟で渡り廊下の手すりの高さが隣の棟と異なることに住民が気付き、同社に通報した。15年2月の簡易調査の結果、全長56メートルの建物の両端で最大2.4センチの差が生じていることが判明。工事元請けの三井住友建設(本社・東京都中央区)が調査を開始し、基礎工事で地盤に打たれた杭(くい)のうち、6本が地盤の強固な支持層に達しておらず、他の2本も打ちこまれた深さが不足していることがわかった。その後、2次下請けの旭化成建材(本社・東京都千代田区)が担当した杭打ち工事でデータの改ざんがあったことが発覚。削岩機のドリルが支持層に届いたかを確認するデータと、杭を地盤に固定するセメント量のデータの両方で、他の施工データの転用や加筆が行われていた。データ改ざんの背景には、多重下請けがもたらす管理体制の甘さや、杭の打ち直しによる工期延長を避ける狙いがあったのではないかと指摘されている。問題を受けて三井不動産レジデンシャルは住民に対し、全棟建て替えを基本とする補償案を提示したが、住民によって事情や希望は異なり、合意形成に向けたハードルは高い。また、旭化成建材が杭打ちを手がけた他の建物でもデータ改ざんが次々と発覚しており、15年11月の同社発表によると04年以降に施工した3052件のうち360件で改ざんが確認されたという。別の会社によるデータ改ざんも見つかっており、建設業界への信頼を揺るがす事態になっている。