自国経済のみを重視して、近隣諸国の犠牲のもとに国内景気を上昇させようとする政策。1937年にイギリスの経済学者ジョーン・ロビンソンが定義した。意図的な為替相場の切り下げや輸出補助金による輸出力の強化と同時に、関税の引き上げなど輸入制限を図り自国企業を優遇、国内の景気を上昇させる。この半面、貿易相手国では通貨高や関税障壁による輸出力の低下が起こり、景気や雇用が悪化する。29年に始まった世界大恐慌のさなかにあった30年代には、各国がこうした政策を採り保護貿易を推し進めて経済のブロック化を図ったことで国家間の対立が激化、第二次世界大戦勃発の一因になったとされる。その反省から、第二次世界大戦後には国際連合、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などを通じた国際協調体制が築かれた。しかし、近年でも度重なる金融不安や、新興国の台頭により激化する輸出競争に対応するため、各国が自国通貨安を誘導する政策を採り通貨安競争に発展する例がある。2012年12月に発足した安倍政権の経済政策、いわゆるアベノミクスによる円高是正に対しても、近隣窮乏化政策との批判がある。