日本政府による開発途上国を対象とした低金利、長期返済の資金融資。政府開発援助(政府間援助、ODA)の一種であり、対象国の経済発展の基盤となるインフラ整備などの事業をはじめ、貧困対策や教育などを支援するために実施される。金利や償還期間は、対象国の所得水準、経済規模などに応じて決定する。低金利、長期返済とはいえ有償の協力であるため、対象国の開発に対する主体性を高めることが期待できる。1958年にインドに対して行われたのが始まりで、以後、2006年度末までにアジア諸国を中心とした99カ国に対して実施された。制度創設当初は日本輸出入銀行が業務を実施していたが、その後、海外経済協力基金、国際協力銀行(JBIC)を経て、08年10月以降は国際協力機構(JICA)により実施されている。13年4月には、日本企業によるインフラ輸出などを支援するため、所得水準が高い国に対しても実施できるようになる条件緩和や、日本企業を受注先とすることが条件となる優遇制度の金利引き下げなど改善策が発表された。また、開発途上国で災害が発生した際に、復旧に必要な資金を速やかに融資できるよう融資枠を合意する災害復旧スタンドバイ円借款も新たに設けられた。