商品やサービスを他のものと区別するために登録、使用される商標のうち、音や動きなどによって表されるタイプ。日本の商標法では従来、商標は文字、図形、記号、立体的形状とそれらの結合などとされていたが、2014年5月の「特許法等の一部を改正する法律」成立で商標法が改正され、「動き」「ホログラム」「色彩のみ」「音」「位置」の5タイプが新たに対象に加わった。「動き」とは、文字や図形などが時間経過に伴って変化、移動するもので、テレビやコンピューターの画面上で変化するマークなどが該当する。「ホログラム」は、文字や図形などの見え方が角度によって変わるもので、ギフトカードなどで使用されている。「色彩のみ」は、単色または複数の色の組み合わせのみからなるもので、包装紙や看板などで企業や製品のテーマカラーを示す。「音」は、音楽、音声、自然音など聴覚で認識されるもので、CMやパソコンの起動音などに用いられるサウンドロゴなどを指す。「位置」は、商品のタグの位置などに特徴があるもの。これらのタイプの商標について、改正商標法が施行された15年4月1日から特許庁が出願受付を開始し、同年10月27日に登録された商標の第一弾を発表。認定がなかった「色彩のみ」以外の4タイプで計43件が認められた。「音」では、味の素がCMなどで使う「あ・じ・の・も・と」の音声や、大正製薬の栄養ドリンク「リポビタンD」の「ファイトー、イッパーツ」など21件が登録。ほか、「動き」では東宝が映画などに用いる社名ロゴの動画など16件、「位置」ではエドウインがジーンズにつけるタグの位置など5件、「ホログラム」では三井住友カードのギフトカードに使われるマーク1件が登録された。同庁では、新しいタイプの商標が言語を超えた発信手段となり、企業のブランド戦略に役立つことが期待されるとしている。