製造業の生産方式の一種。1人から数人の作業員が、部品の取り付けや組み立て、加工、検査などの全工程を担当する生産方式。1人が単一な作業を行う分業型のベルトコンベヤー方式と異なり、1人が複数の工程の作業を行う。部品や工具を主にU字型に配置した、セルと呼ばれるラインで作業を行うことから、セル生産、またはセル方式などとも呼ばれる。セル上の部品箱の配置や作業工程の順序を変えることで、生産品目を変更できることから、多品種少量生産に適している。また、大規模なベルトコンベヤー方式の作業ラインに比べて、作業ラインがコンパクトなセルはライン数の増減が容易で、生産量の調整に対応しやすい。デメリットとしては、1人が多工程の作業を担当するため、作業者の熟練に時間がかかること、熟練度によって生産量や品質に差が出ることなどがあげられる。1990年代以降、携帯電話やパソコンなどモデルチェンジが頻繁に要求される製品や、多様化する消費者のニーズに即応する製品の製造が求められ、セル生産を導入する企業が増加した。