世界の経済・金融情勢について内外の有識者から見解を聴取し、意見交換を行う政府主催の会合。2016年5月に開催される伊勢志摩サミットの議長国として、世界的な経済状況に適切に対応するべく設置された。メンバーは安倍晋三首相のほか、麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官、石原伸晃経済再生担当大臣、加藤勝信一億総活躍担当大臣、岸田文雄外務大臣、林幹雄経済産業大臣と、黒田東彦日本銀行総裁。第1回会合は3月16日に首相官邸で開催され、01年のノーベル経済学賞受賞者であるアメリカのコロンビア大学ジョセフ・スティグリッツ教授から意見を聴取。同教授は、16年は世界経済がさらに弱体化すると指摘し、世界的な総需要の不足こそが問題だとして財政出動が必要との認識を示した。また、深刻な経済の停滞時に金融政策は有効ではないとして、日銀が採用する量的緩和政策や、マイナス金利政策などの効果には否定的見解を示した。環太平洋経済連携協定(TPP)の経済効果にも否定的で、アメリカ議会では「批准されないだろう」としている。17年4月の消費税10%増税は先送りを提言した。翌17日の第2回会合では、ハーバード大学のデール・ジョルゲンソン教授が、日本の財政を持続可能にするためには消費税増税が必要であると指摘したが、実施時期については明言しなかった。同月22日には第3回会合が開かれ、08年のノーベル経済学賞受賞者であるニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授から意見を聴取した。同教授は後に非公開とされた会合の議事録を公開している。それによれば、アベノミクスが掲げるデフレ脱却というゴール設定は評価しつつ、金融政策には限界があり、財政出動によって景気を刺激すべきとしている。そのためには短期的な財政収支の悪化は優先度が低く、17年4月の消費税増税は先送りすべきとの意見を述べた。同会合は、伊勢志摩サミット開催まで、あと2回以上、行われる予定となっている。