アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が2015年12月16日に決定し、17日に実施した政策金利の引き上げ。FRBはリーマン・ショック後の08年12月、同国の短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を年0~0.25%と定め、実質的にゼロ金利政策を導入した。これは金融機関などが資金を調達しやすくして景気回復を促すことを目的としたもの。同時期に行った、市場への通貨供給量を増やす量的緩和とともに、未曽有の金融危機に対応するための異例の対応だった。これにより金融機関の連鎖破たんは回避され、09年半ばからアメリカ経済は回復に転じたが、その後も経済成長率は大きく伸びず、ゼロ金利政策は7年にわたって継続された。金融政策を決定するため15年12月に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)では、一時10%まで悪化した失業率が5%まで改善したこと、物価上昇率が中期的に目標の年2%に向かうと見られることなどを理由にFF金利の誘導目標を年0.25~0.5%に引き上げることを決定。06年6月以来9年半ぶりの金利引き上げとなり、異例のゼロ金利政策は解除された。FRBは16年以降も、景気の動向を見ながら緩やかに追加利上げを行うと見られる。アメリカが金利上昇局面に入ったことで、新興国や商品市場などに投資されていた資金が引き揚げられていくことが予想され、新興国の通貨安や原油などの商品価格下落につながるおそれもある。