工業製品などに用いられる特許技術のうち、国際的な標準規格に必要で、それなしでは製品やサービスが成り立たないために、1社が不当に独占するべきではないとされる特許のこと。英語の「fair, reasonable, and non-discriminatory(公正で合理的、かつ差別のない)」の頭文字を取ってFRAND(フランド)特許とも呼ばれ、そうした考えに基づく取り決めをFRAND条項、特許を持つ企業がそれに合意することをFRAND宣言という。合意した企業は、該当する特許権の侵害を理由に他社製品の販売を差し止めたり、過度に高額な使用料を求めたりしてはいけないとされている。近年では、アメリカのアップル社と韓国のサムスン電子がスマートフォン(スマホ)に使われている技術をめぐって世界各国の裁判所で繰り広げた訴訟において、この特許の扱いが争点となった。日本で両社が争った訴訟では、原告のサムスン側が過去に出したFRAND宣言に基づいて、アップルに対する損害賠償請求を「権利の乱用」と判断、アップル側を勝訴とする判決が2013年3月に東京地方裁判所で出されている。