先進経済国や世界貿易機関(WTO)から、自由な市場経済を重視していると認定された国のこと。他方、WTOは政府による経済統制が強い国を「非市場経済国」として扱う。加盟各国は非市場経済国に対し、ダンピング(不当廉売)の判定基準を厳しく設定できることに加え、簡単な手続きで反ダンピング税を課せるようになっており、不当に安い商品の流入を阻止しやすい。中国は2001年にWTOに加盟した際、加盟各国と交わした合意文書で、加盟後15年間、非市場経済国として扱われる立場を暫定的に受け入れた。この規定が16年12月11日に失効することから、中国は失効後、自動的に市場経済国に移行すると主張。これに対し、WTO加盟国の間では、中国の市場経済国認定をめぐって意見が分かれている。加盟時の規定では、中国が個別に各国と交渉することで市場経済国と認定されることが可能になっており、16年までにロシアやオーストラリアなど80カ国以上が認定してきた。これに対し、欧州連合(EU)では、イギリスやオランダが認定に前向きな一方、イタリア、フランスは強硬に反対する中、16年7月20日、EUの欧州委員会が中国を市場経済国と認定しない基本方針を決定した。同月14日には、アメリカがWTO会合において、中国が自動的に市場経済国に認定されるとは限らないとの考えを伝え、中国にさらなる取り組みを求めた。日本は、各国の対応などの様子を見ながら、16年末までに判断を下す方針。