2015年8月下旬に世界各国の株式市場で連鎖的に進んだ株安。世界的な価格下落の背景には中国経済減速への懸念がある。同国の中央銀行にあたる中国人民銀行は15年8月11~13日に事実上の人民元切り下げを実施したが、自国通貨安の誘導による輸出促進が必要なほど中国景気が悪化しているとの見方から、世界経済の先行きへの不安が高まった。さらに、同月21日に発表された中国の製造業の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)が市場の予測を大きく下回ったことが株安の契機となった。また、もう一つの大きな要因としては、アメリカの利上げの時期が不透明な点が挙げられている。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は近年のゼロ金利政策を解除して利上げに踏み切ると見られており、実施されれば新興国からの資金引き上げなどにつながって世界経済の減速要因になる。こうした要因による不安感から、同月20~21日にかけてニューヨークやヨーロッパの市場で株価は大幅に下落。日経平均株価も約1カ月半ぶりに2万円を割り込んだ。週末を挟んだ24日にはさらに株安が進み、日経平均の終値は前週末比895円安と15年最大の下げ幅を記録。上海市場をはじめとしたアジア市場やヨーロッパ市場も大幅安の展開となり、ニューヨーク市場のダウ工業株平均は一時、前週末終値と比べて1000ドル以上も下落した。また株式市場から引き上げた資金の行き先として安全資産といわれる日本円を買う動きが強まり、円高も急激に進行した。25日に中国が預金準備率と基準金利を同時に引き下げる金融緩和策を発表したことなどで、各国の株価は落ち着きを見せたが、同月末時点で下落前の水準までは戻していない。