貿易品の製造工程における付加価値が、どこの国によってもたらされたかに注目する、新しい貿易統計の考え方。例えばアップル社のiPhoneの場合、製品自体は中国の工場で組み立てて出荷しているが、それを構成する部品は日本や韓国、ドイツなど、数多くの国から調達している。このように、一つの製品であっても生産拠点が複数の国に分散する国際分業が進んだ現在、原産国を基準とする従来の考え方よりも、グローバル経済の状況を正確に把握できる方法として付加価値貿易という考え方が重視されるようになった。従来の統計方法では日本の最大の輸出相手国は中国とされてきたが、経済協力開発機構(OECD)と世界貿易機関(WTO)が2013年1月に発表した付加価値貿易の統計によると、最大の輸出先はアメリカとなる。日本企業が部品や素材を輸出する直接の相手国は中国をはじめとしたアジア諸国が多いが、それらを使って製造された最終消費財の多くは最終的にアメリカに輸出されていることが分かる。