中国の李克強首相が主導する経済政策を表す言葉。イギリスの金融大手バークレイズキャピタルが2013年6月に公表した経済リポートの中で名づけ、中国メディアなどでも用いられるようになった。日本のメディアでは「中国版アベノミクス」と呼ばれることもある。ただし、日本経済浮揚のために大胆な金融政策などを行うアベノミクスとは対照的に、主な目的は08年以降に進められた大規模な景気対策で生じた中国経済のひずみを是正し、持続可能な安定成長に軟着陸させること。そのため、大規模な景気対策を行わない、膨張した信用リスクを抑制する、過剰設備の縮小など構造調整を促進する、の三つを柱とする。また、近年の中国経済で問題視されているシャドーバンキング(影の銀行)への対応も課題とする。中国経済の先行きが不安視されるなか、安定成長へ向かうための構造改革として期待される半面、短期的にはさまざまな痛みや抵抗を伴うことも予想され、どこまで改革を推進できるかが世界的に注目されている。