政府が示す、その年の税制の基本方針。毎年12月に経済や社会の情勢を考慮して作成し、大綱に沿った税制改正法案を、翌年1月の通常国会に提出するのが通例となっている。第3次安倍晋三改造内閣による2016年度大綱は、与党の自由民主、公明両党が15年12月16日に正式決定し、同月24日に閣議決定された。16年夏の参議院議員選挙を控えて成長重視の改正とされる。減税規模は、国と地方を合わせて約400億円となる。17年4月の消費税率10%引き上げに伴い税率を8%のまま据え置く軽減税率の導入については、酒類と外食を除く食料品、および週2回以上発行される定期購読の新聞に適用することが盛り込まれた。導入による約1兆円の税収減を補う財源は特定されず、16年度末までに確保する予定。軽減税率の経理方法は、品目ごとに税率や税額を明記したインボイス(税額票)方式を21年4月に導入することとし、20年度までの4年間は請求書の軽減税率適用品目に印をつける簡易な方法を認め、事業者の負担を軽減する。法人税の改正では、15年度に32.11%だった実効税率(標準税率)を、16年度に2.14%引き下げて29.97%に、18年度にはさらに0.23%引き下げて29.74%とする。引き下げによる税収減は、消費増税分や、事業規模に応じて赤字企業にも課税する外形標準課税の強化などで穴埋めする。そのほか、企業向けとして中小企業の新規設備投資への固定資産税を3年間半額にすることや、対象となる世帯が限定されると批判もある3世代同居に対応した住宅リフォーム費用の一部を所得税額から控除することなどが盛り込まれた。自動車関連では、自動車取得税を廃止する代わりに、購入時に燃費性能に応じて購入額の0~3%を課税する「環境性能割」を17年4月から新たに導入することとした。