富裕者がさらに富めば、経済活動が活発になって低所得者層にも富が浸透していくとする経済理論。トリクルダウンとは徐々に流れ落ちるという意味であることから、このように呼ばれる。低所得者層がおこぼれにあずかるものだとして、俗におこぼれ経済と呼ばれることもある。18世紀イギリスの思想家、精神科医であるバーナード・デ・マンデヴィルが著書「蜂の寓話」で最初に取り上げた考え方とされる。この理論に対しては、経済発展の途上にある途上国では成り立つが先進国には当てはまらない、経済の規模は拡大しても富裕層がさらに豊かになるだけであるなどの批判的な意見も多い。安倍晋三内閣が推進するアベノミクスもトリクルダウン理論による政策だと指摘されることがある。2014年12月に経済開発協力機構(OECD)が行った報告では、トリクルダウンを否定し、所得格差が経済成長を損なうと指摘。格差の是正が、社会の公平化をもたらし、富裕化にもつながり得るとしている。