資本移動規制とは、国内の金融機関から資金が急激に流出することなどを防ぐため、資金の移動を制限すること。資本規制ともいう。銀行が休業となるほか、銀行預金の引き出しや海外への送金、投資などが制限される。預金封鎖とは、銀行預金などの金融資産の引き出しを一時的に制限あるいは禁止することをいう。2013年3月には、金融危機に陥ったキプロスで、資本移動規制と預金封鎖が実施された。同国政府は2週間弱、銀行の営業を停止させた上で、その後は現金の引き出しに1日当たり300ユーロの上限を設定。国外への送金や現金の持ち出しも制限した。銀行預金への課税措置のため、預金も封鎖された。ギリシャでも、チプラス首相が15年6月28日、翌29日から資本移動規制を導入すると発表した。同国の財政破綻のリスクが拡大し、金融システムへの不安が高まったため、資金の流出を防ぐのが目的。同年7月6日まで銀行を休業とし、現金自動預払機(ATM)による1日の引き出し上限額は60ユーロ(約8100円)に制限した。同国では、預金封鎖が実施されることを恐れた国民による預金引き出しが相次いでいたが、資本移動規制の実施で国民の不安や生活の混乱に拍車がかかった。