物価水準の変動を考慮した賃金のこと。労働者が受け取る賃金で実際に購入できる消費物資やサービスの量を表している。その増減は、労働者が受け取る賃金の額面そのものである名目賃金(貨幣賃金)の指数を消費者物価指数で割って算出した「実質賃金指数」で知ることができる。たとえば名目賃金の額が同じであっても、物価が上昇すれば実際の購買力は低下するため実質賃金は減り、物価が下落すれば購買力は向上するため実質賃金は増える。日本では、厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査で月ごとの実質賃金指数が公表されている。2014年9月に発表された同年7月の毎月勤労統計調査(速報)によると、1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.6%増となり、1997年1月以来の高い伸び率を記録した。ただし、物価上昇分を除いた実質賃金指数で見ると1.4%減で13カ月連続のマイナス。名目賃金は上昇しているが、消費増税などによる物価上昇が上回っているため、家計の購買力は伸びていない状況が続いている。