現存する労働力や設備などを十分に活用したときに達成できる経済成長率のこと。急なインフレやデフレを伴わずに持続できる国内総生産(GDP)の伸び率であり、供給面から見た中長期的な経済の実力を示すとされる。実際の成長率が潜在成長率を上回っていれば、需要超過によるインフレの過熱が懸念され、下回っていれば供給過剰によるデフレが問題視されるようになる。資本(機械設備など)、労働力(労働力人口と労働時間)、生産性(技術革新など)の三つの要素をもとに推計する。ただし、推計の方法にはいくつかの種類があり、方法によって推計値は異なるうえに、どの方法を採用しても誤差が生じうる。特に、正確なデータが少ない直近の潜在成長率を推計することは難しい。日本の潜在成長率は、1980年代には3~4%だったが、90年代には2%台に低下。2009年には、日本銀行が1%前半との見方を示した。内閣府が14年7月に発表した試算では、同年の潜在成長率を0.8%としている。また、アベノミクスと呼ばれる一連の経済政策により経済が再生することを想定し、19年以降は2%台の潜在成長率を見込んでいるが、この数値は現実の水準より高く見積もられているとの批判もある。